いじめられ猫
2023.08.12(土)
猫
実家に猫がいる。
正確に申し上げると、野良猫に餌付けをしている。
名前は恐らく決まっておらず、私は「猫」と呼んでいる。
2年半ぶりに帰省したお盆。
記憶力が良いのか、私を見つけるとすぐにスリスリしてきた。
「猫」は口の右端がえぐれている。
周辺の猫界隈で仲間はずれにされていた、と親は言う。
病気なのか、猫同士のいじめや喧嘩なのか、前飼い主の虐待なのか、定かではない。
いずれにせよ、順風満帆な猫生ではなかったと思う。
飼い猫は自信満々で殿様気分な性格に育ちがちだ。
私もそんな猫の下僕になり下がりたいと日々祈っている。
ただ「猫」は殿様感をあまり感じさせない。
家の中には抱っこして無理やり入れないと入ってこない。
入れれば父親の枕でぐっすり寝るので、決して入りたくない訳ではない。
わざわざ玄関の外に出さないと、ご飯も食べない。
トイレも絶対に外で済ませる。
「自分なんかが人間に甘えていいのだろうか」
「調子に乗って嫌われてしまうのがこわい」
そんな哀愁を感じ取ってしまう。
考えすぎかもしれないが、大枠は間違っていないはずだ。
だから「猫」と遊ぶためには、玄関前か庭に出ないといけない。
お尻ポンポンを要求してくる瞬間だけは、自分の欲望のまま行動してくれている気がして、永遠にポンポンを続けていた。
稀にえぐいほど深く噛まれるのだが、その愛情表現も愛おしい。
恐らく7歳か8歳程度で、おじいちゃん猫だ。
次に帰省できるのが何年後になるのかは、分からない。
細くなってきた体の匂いを嗅ぎ、今日もエンドレスお尻ポンポンに勤しもう。
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